【岐阜・米屋】ミルキークイーンの基礎知識について

これまでの品種改良との違い

お米の品種改良は、栽培地の気候に合わせて美味しく育てやすいように開発されるため、各都道府県の農業試験場が行うのが一般的です。1985年、国が現在の農研機構次世代作物開発研究センターである稲育種法研究室に、各地で栽培できるうまみがあり粘りが強いお米、スーパーライスの開発を指示しました。精白米となる部分のでんぷん質の割合でお米の粘りが変わることから、コシヒカリを品種改良して、アミロペクチンの割合を増やした、低アミロース米を作ろうとしたのです。

旧農業研究センター・稲育種法研究室では、コシヒカリに突然変異の処理を施して、ミルキークイーンを開発し、各地での試験栽培を経て、10年以上の歳月をかけて品種登録されました。

現在もミルキークイーンの品種改良は続けられている

コシヒカリの突然変異種であるミルキークイーンは、コシヒカリと栽培期間が重なるため、生産者にとっても消費者にとっても競合する品種です。農研機構構次世代作物開発研究センターは研究を続け、2009年に極早生の「ミルキーサマー」を、2018年に晩生の「ミルキーオータム」を育成し、「ミルキークイーン3姉妹」として発表しました。ミルキークイーンは現在も進化し続けている品種なのです。

ミルキークイーンの美味しさの秘密

精白米として食べる部分はでんぷんでできていますが、お米のでんぷんにはアミロペクチンとアミロースの2つの種類があります。この2種類のでんぷんの割合が、ミルキークイーンの美味しさを決める要素です。

・粘りが強くもっちりしている
アミロースが少ないほど粘りのあるお米になりますが、ミルキークイーンは、うるち米全般はもちろん、粘りが美味しいコシヒカリと比較しても、アミロースの割合が低いお米です。低アミロース米のミルキークイーンは、粘りのあるもっちりとした食感が楽しめます。

・冷めても美味しく食べられる
アミロース含有率が低いお米は、冷めても硬くなりにくいのも特徴です。おにぎりやお弁当はもちろん、チルドで販売しているパックご飯の原材料としても活用されています。

ミルキークイーンのおすすめの食べ方

和食やお弁当、おにぎりなど、お米の美味しさそのものを楽しむなら、ミルキークイーンがおすすめです。パラパラになりやすい炊き込みご飯に使うと、具をたくさん入れてもまとまりよく仕上がります。

ミルキークイーンと反対の特徴を持つ銘柄は？

ミルキークイーンは、うまみや粘りといったお米そのものの特徴が強いお米ですので、向いていない料理もあります。チャーハンやカレー、リゾット、お寿司には、粘りが強いミルキークイーンは好まれません。あっさりした食感が特徴のブランド米には、「ササニシキ」や岐阜で栽培されている「ハツシモ」があります。